嫌いな人、苦手な人ができる心のしくみ 1

みなさん、こんにちは。

心のセルフケア協会心理セラピストの澤田 准です。

前回の記事では、嫌いな人、苦手な人がいるときの、心を軽くする3つのヒントについて、お話させていただきました。今回は、なぜ嫌いな人や苦手な人ができるのか、その背景にある心の仕組みについて、お話していきます。

これらの記事がみなさんの心を軽くし、『嫌いや苦手の人ができるのか』、その心の仕組みや背景を知って、自分への理解や他者への理解を深めていただけたら幸いです。

なぜ嫌いな人や苦手な人ができるのか?

嫌いな人や、苦手な人ができるには、だいたい3つの理由があって、

①  相手の神経系の状態に無意識に反応しているとき、不調和な神経系の状態を感じ取っているときなど。

②  マイルールに反する行為をする人、してはいけない、こうなってはいけないと思っていることをする人。

③  幼少期などのトラウマだったり、過去に傷ついた経験が原因となっていることがある時に、その場面やイメージ、その当時感じた感情を想起させる人だった場合。

   

①相手の神経系の状態に無意識に反応している時

まずは、その背景にある私たちの神経系についてお話します。

私たちの神経系は、無意識にその場の状況や相手の神経系を見て、『自分にとって安全か危険か』を検知していきます。このシステムを『ニューロセプション』と言います。

これは、私たちの神経系が無意識にしていることで、意識的にコントロールする前に、身体的、生理的反応(肩がこわばる、緊張する、内臓がぐっとする、なんとなく違和感など)が起こってきます。

例えば、天気の雨雲レーダーのように、「空が暗くなってきたな、、、雨が降りそうだな」とか、「雷が来そうだな」と感知するように、このシステムの中で、(私たちの)神経系も半径2〜3メートルの範囲で、お互いの神経状態を感知し、影響しあっていると言われています。

だから、近くにいる相手が落ち着かない人だったり、イライラしていると、自分の神経系もなんとなく落ち着かなくなって、危険と感じ取ることがあります。

特にHSP(生まれつき敏感で繊細な人)は、無意識に相手の神経系と共鳴しやすく、自分もイライラしたり、ざわざわしたり、そばに居たくないと感じたりします。

相手の不調和な神経系を感じ取って、居心地が悪いと感じてしまうことがあるのですね。

そうやって相手の状態を読みとって、無意識に何かを感じ取り、『安全(大丈夫)、危険、脅威』を検知していくシステムが私たちの中にあるのです。

そしてそのシステムが危険、脅威だと感じた相手を、『嫌い、苦手、なんとなく嫌だ』という反応が起こってきます

もしかしたら、そばに居たくないと思うかもしれませんし、相手の怒りそうな気配を感じ取って、したくないけど機嫌をとってしまうと言うこともあるかもしれません。

こんな風に何となく自分の神経系が反応してしまって、苦手、イヤだと言う気持ちが強くなって、落ち着かなくなってしまった、、というときに、オススメのワークを2つご紹介します。

腎臓タッチ

一つ目は、『腎臓タッチ』です。まずはお尻がしっかりと椅子に支えられていて、足が床の上にあるのを感じながら、腎臓をタッチします。

手が暖かい方は、そのまま、冷たい方は、擦り合わせて、温めてから、触っていきましょう。

手の温かみがじんわりと伝わっていくのを感じます。すると、自然にため息の呼吸が出るかもしれません。

リラックスモードとなり、腎臓が自然に下がり、休まることで、いつもの心地よい自分モードになります。5分くらい経って、身体を動かしたくなったら、ストレッチをしてもいいですね。

ふ〜とリラックスして、ナチュラルな自分に戻ってきたら、

バウンダリー

二つ目の『バウンダリー(境界線)』を意識して、振り返ってみましょう。

相手の感情、思い、行動は相手のもの

私の感情、思い、行動は私のもの

相手の感情や思いを私が何とかしなくてもいい

自分の気持ちと相手の気持ちを混ぜるのではなくて、分けて考えてみる練習をしてみましょう。

そう思うと、自分の気持ちや体の感覚はどんな風になるでしょう?

『あ、私、相手の気持ちをよくしようとしていた。機嫌が悪いのは、私が何かしたのだ、私が悪いと感じて、相手の気分を変えようとしてた。相手の気持ちの責任を取ろうとしていた』

そんな風に、相手に向いていた意識を自分に戻し、ナチュラルで自然体の自分でいられる時間を増やしてみてくださいね。

ナチュラルで自然でいられるほどに、自分の気持ちに余裕が出て、状況や相手の状態に巻き込まれにくくなるだけでなく、あなたの落ち着きや穏やかさの神経系が、相手のサバイバルを解き、心地よいつながりになっていくかもしれません。

今回の動画では、ニューロセプション、HSP、バウンダリー(境界線)について少し触れてみました。(下記に簡単な説明も書かせていただきました)

もし、さらに詳しく知りたい方は、ぜひ協会のセラピストが開催している講座にご参加してみてくださいね。

ニューロセプション

ポリベーガル理論を執筆したポージェス博士が作った造語。私たちの神経系は、いつも休みなく環境や他者が、自分にとって『安全』『危険』『生命の脅威』であるかどうかを、相手の状態や自分の内臓感覚から検知(リスク評価)している。 ポージェス博士が発表したポリベーガル理論によって、神経生理学分野だけでなく、臨床心理の分野でもトラウマの理解を推し進めた。

詳しくは 『ポリヴェーガル理論入門』 ステファン・W・ポージェス著

HSP

HSP(エイチ・エス・ピー)とは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略で、日本語では『非常に感受性が豊かで、敏感な性質を生まれつき持った人』のことを指します。アメリカの心理学者のエレイン・N・アーロン氏が提唱した心理的概念で、全人口の15-20%に見られるといわれています。

HSPの人は、共感しやすく、心やエネルギーの境界線が薄く脆いため、周りからの刺激を過度受けやすい性質があります。

詳しくは、『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ』エレイン・N・アーロン [著]

バウンダリー

 バウンダリーとは「境界線」のことで、私たちは皆、この目に見えない、けれど非常にリアルなバウンダリー感覚を持っています。この境界線感覚が適切だと、健全な自己愛が育ち、より良い人間関係が築けるベースとなります。心地よい距離感で、尊重し合う関係性の中で、人はお互いへの信頼を培っていきます。

 HSPの人は、この境界線がもろく、またトラウマ的な経験(発達性トラウマも含む)は、私たちの見えないこの境界線を破損させてしまいます。この境界線を修復することは、その人が持つ生命エネルギーを回復させ、生きづらさから解放してくれます。

 

 

そして次のブログや動画では、状況や相手の状態を無意識に検知していくこのシステム、ニューロセプションが正確ではなく、誤作動が起こっている時に起こりやすい心の背景②③についてお話ししますね。

心理カウンセラー・セラピスト

澤田 准(さわだ じゅん)

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