春になると心や体にいろいろな不調を訴える人がとても多いです。
まず時期で言えば立春(2月の始めの頃)あたりからゴールデンウイーク前頃に多くの人に様々な症状が現れます。
体に出る症状として特徴的なのは、上半身、特に首から上に表れやすい事、さらに筋肉にもよく出ます。
そしてその出方としては、急に激しく出て、しばらくすると直ぐに治まるというものです。
毎年決まって多いのは、頭痛、めまい、目の症状(充血、ものもらい等もろもろ…)、寝違え、ぎっくり腰、湿疹、急な下痢など…ほとんどがこの特徴に当てはまります。
さらに冬に収まっていた持病がうずくのもこの頃が多いです。
東洋医学では、春には肝(かん)が消耗すると言われています。
この肝とは肝臓を通る経絡なのですが、役目としては、からだ全体を整える自立神経の様な役目、さらには感情や筋肉にも作用するという大変重要なものです。
自律神経は、すべての内臓、血管、分泌腺などの働きをコントロールし、体内の環境を整える神経で、乱れると様々な症状が現れます。
立春以降は、日の光が、がらりと明るくなるのに、相変わらず地面は冷たいので気温は低いままです。
光の明るさで体は春だと認識しますが、足元の気温が低いままなので、体はある意味混乱状態になります。
加えて、日々の気圧や気温の激しい変動に対応するために、かなり自立神経を消耗しています。
ですから普段でもストレスなどで自律神経が乱れやすい人は、この時期不調が出てしまいます。
特に最近よく聞くのは、春なのに真冬みたいに手足が冷たくなって寒さを感じると言う事です。
これは、通常私たちの自律神経は、緊張モード(交感神経)とリラックスモード(副交感神経)を緩やかに繰り返していますが、自立神経の働きが乱れるとそのモードの切り替えがうまくいかず緊張モードの状態が続いてしまいます。
緊張モードは戦闘モードでもあるので、心臓に血液を送ることを優先して手足の細い血管は血行が悪くなり、冷えを感じてしまうのです。
さらに感情に関わる肝が消耗すると情緒も不安定になります。
訳もなくざわざわしたり、不安になったりもします。
春になると道端や電車で、大きな声で独り言を言う人が増えるのも、冬の間には抑えられてきたエネルギーが不安定になり抑えられなくなるからです。
また一方で、とにかくだるい、やる気が出ない、眠いと言った声もよく聞かれます。
これは体の調整でエネルギーを消耗してしまい、エネルギー切れになってしまったからです。